酸化物熱電変換材料候補: n型 Nbドープチタン酸ストロンチウム
Nb-doped SrTiO3; n-type thermoelectric oxide with high ZT
[Appl. Phys. Lett. 2005/ J. Appl. Phys 2005/ J. Ceram. Soc. Japan 2006/ Appl. Phys. Lett. 2007/ J. Appl. Phys. 2007/ Phys. Rev. Lett. 2008 ]
自動車や工場から排出される廃熱を、固体のSeebeck効果を利用して直接電気に変換・再利用することにより、化石エネルギー枯渇や地球温暖化を少しでも食い止められれば・・・という思いで高温で使用可能な熱電変換材料の開発を行っています。熱電半導体物理の基本を学び、①Ti-3d軌道からなる伝導帯下端近傍の状態密度が大きい、②Nbドープにより金属的な電気伝導を得ることができる、③結晶構造が単純で超構造などの作製も容易、という理由から、n型金属酸化物 NbドープSrTiO3の電子・熱輸送特性を詳細に調べました。結局、バルク単結晶、高品質エピタキシャル薄膜、多結晶薄膜、セラミックスについて調べ上げた結果、Tiサイトの20%をNbで置換したSrTiO3は約700℃において、n型金属酸化物バルクとしては最高の熱電変換性能指数 ZT=0.37を示すことが分かりました。名古屋大学助教授着任直後に、当時博士課程の学生だった太田慎吾君(現:(株)豊田中央研究所)が中心となって行った研究成果です。(名古屋大学)