成果

複雑な結晶構造を有する室温強磁性p型半導体Sr4−xErxCo4O12−δの固相エピタキシャル成長に成功し、アドバンスド・エレクトロニック・マテリアルズにオンライン掲載されました。

T. Katase, H. Takahashi, T. Tohei, Y. Suzuki, M. Yamanouchi, Y. Ikuhara, I. Terasaki, and H. Ohta, “Solid-Phase Epitaxial Growth of A-Site-Ordered Perovskite Sr4−xErxCo4O12−δ: A Room Temperature Ferrimagnetic p-Type Semiconductor”, Adv. Electron. Mater. (2015).[DOI: 10.1002/aelm.201500199]

秩序構造を有する酸素欠損型ペロブスカイト酸化物Sr4−xErxCo4O12−δ (SECO)は、Aサイト秩序により室温でフェリ磁性を示す半導体であることが知られています。このような磁性体を薄膜化することはスピントロニクス素子の実現に必要不可欠ですが、Aサイト秩序構造を有するSECO薄膜はこれまで実現されていませんでした。本研究では固相エピタキシャル成長(SPE)法により(LaAlO3)0.3(Sr2TaAlO6)0.7単結晶基板上に完全にAサイト秩序させたSECO薄膜の作製に成功しました。具体的には、PLD法によって作製したAサイトが無秩序配列したブラウンミラーライト型SECOエピタキシャル薄膜を大気中1050℃で加熱することでAサイトを秩序化させました(図)。本研究で得られたSECOエピタキシャル薄膜はキュリー温度310 Kのフェリ磁性を示すp型半導体であり、室温動作可能なスピントロニクス素子用の材料として有望です。

 

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